その他われらの仲間・食進会
- 更新日:2018年06月29日
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広報日の里2018年7月号から転載
「もう少し細く切りましょう。そうそう、いいですよ」川岡美貴子管理栄養士の指導と励ましでキャベツを刻むご老体。5月下旬、コミセンの調理場で始まった男性料理教室では、キャベツと豆腐のコールスロー、たけのこの酸辣湯炒め、味噌汁に十数人の中高年者が取り組んでいた。皆さん真剣で無駄口はきかない。聞こえるのは助手役の食進会女性役員の助言だけである。一汁二菜にデザートは豆乳バナナケーキの料理が2時間弱で出来上がった。
料理教室を主宰する食進会は、食生活改善推進会の略称である。全国市町村の8割が組織化を終えている。戦後は食糧難で栄養不足のため乳幼児の死亡率が高かった。全国の保健所で栄養教室が開かれるようになった。昭和34年には厚生省が栄養と食生活改善の地域組織育成に乗り出し、宗像町でも早速始めた。当初は県が派遣した栄養士が指導に当たった。今は市の健康課所属の管理栄養士がその役目を担っている。
市内の9ブロックごとに支部がある。日の里支部は会員が男女合わせて24人。毎月第3水曜日の午前に2時間、実習に励んでいる。市健康課が季節ごとにテーマを決め、管理栄養士が月別のメニューを作る。それを各支部の担当者が講習会で受講し、月1回の支部研修で教えるピラミッド型の組織である。
古賀順子支部長は会員歴10数年。諫早の母上が会員だったのに啓発されて入会した。「当初の1年間は座学、3回欠席で留年だったけど、今は座学も4カ月に短縮されました」。
平成24年に男性も食進会に入会できるようになった。市門武士さんはそれ以前から男性教室の常連だった。さぞかし腕前が上がったでしょうと水を向けると、「いやいや、家で復習しないから駄目ですよ」と謙遜しながらも、「後片付けはしますけどね」だそうだ。奥さんにはなによりありがたい心遣いだろう。「講習で料理へ、ひいては健康への関心が高まるのはいいことだと思う」とも付け加えた。