その他漢字と仮名の使い方2
- 更新日:2019年01月30日
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広報日の里2019年2月号から転載
仮名を持たない中国は漢字だけで文章を作らなければならない。さぞかし難儀だろうなと同情します。わが国でも万葉集は漢字ばかりで編纂されました。今見るとまるで謎々のような読み方をして意味を汲み取っていたことがわかります。さぞ難儀だったでしょう。源氏物語、枕草子は平仮名を使っていて今の時代でも教科書にもよく登場しますが、当時の男性貴族は漢文を駆使していたのです。
漢和辞典には何万という字が載っています。それを今のわが国では2200台に絞っているのですから窮屈だなと感じる方も多いでしょう。火野葦平の芥川賞受賞作「糞尿譚」と書いたとします。糞も譚も制限漢字ですから、ルビを振らないといけない。縦ルビだと、(ふんにょうたん)と丸かっこで囲みます。格好悪いですね。それもあり、文学作品の題名にはルビはほとんどつけません。「田園の憂鬱」の鬱に(うつ)とルビを振ったら佐藤春夫先生が化けて出るかもしれません。鞍馬天狗や祗園小唄など、映画の主人公や歌謡曲の題名にもルビは振りません。
例外もいっぱいあります。まず固有名詞です。難読の人名地名は無数にあります。これはどうしようもありません。そのとおりルビを振るしかありません。しかし瑞宝章や藍綬褒章など栄典、関脇や伍長など称号はルビなしで使っています。ややこしいといえばややこしいけれど、漢字、平仮名、片仮名の3種を駆使しているおかげで豊かな表現ができているのだと思えば納得できるというものです。
平仮名
接続詞、感動詞、助動詞、
助詞は原則、仮名書きです。
あるいは すなわち ただし なお など また
次の接続詞は漢字書きでもよいとされています。
従って 故に 及び 並びに
本来の意味の薄れた語も仮名書きにします。
やってみ(見)る
遊んでい(居)る
無一文にな(成)った
ちょっと見てく(来)る
聞いたこと(事)がない
要らないとき(時)は返せ
必ず来てほ(欲)しい
来ないかもし(知)れない
外来語は原則、片仮名ですが、国語化したものは平仮名書きです。
かっぱ かるた きせる さらさ たばこ